Ryuichi's Philosophy 熊倉隆一が語る、私の作品作りの真髄

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江戸切子の店 華硝

Ryuichi's Philosophy

熊倉隆一が語る、私の作品作りの真髄

熊倉隆一

二代目

Ryuichi Kumakura

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令和6年 旭日単光章 受章/江戸切子の店 華硝 二代目 熊倉隆一が、令和6年春の「旭日単光章」を受章いたしました。

自分の理想を追い求めて

父が創業した工房(熊倉硝子工芸)では、創業以来ずっと下請け工房として江戸切子を作っていました。
作っていた江戸切子は、すべて決められたデザインの“商品”でした。
父は腕は良かったのでたくさんの注文がありましたが、
そのような環境下では、職人としての独自のアイデアがあったとしても実現するのは難しいことでした。

父が急逝し家業を完全に引き継ぐことになった時、私は大きな選択を迫られることになります。
それは、下請けとしての道を歩み続けるか、自分の理想を追求した江戸切子の“作品”作りのための道を切り開いていくかという、
今後を決める大きな選択でした。

結果として、私は自分の理想の作品作りの道を選び、現在の「江戸切子の店 華硝」が生まれました。
その際には、現社長である熊倉節子(妻)が販売を担当してくれることも心強い後押しになりました。
自分たちで作り、自分たちで売るという独自のスタイルを実現することができたからです。

熊倉隆一作品

探求の歩みがインスピレーションを育む

自分の理想の道を歩むためには、その決断に見合った努力と探究心が求められます。
とはいえ、それは自分にとって茨の道のようなものではなく、
自分の理想や言葉にできない発想の発露をかたちにするための、
無我夢中の楽しい探求の道でした。

研究のため毎週のように神田古書店街に出掛けてガラスに関する洋書を読み漁ったり、
頭に浮かんだアイデアをラフスケッチに描いてみたりしたこともありました。

経験を積んだ今では、グラインダーの前に座った時に、
自然にパッとイメージが浮かぶのでそれと真摯に向き合い、
ただひたすらそれを作品として仕上げています。

熊倉隆一作品

神は細部に宿る

有名な建築家の言葉*にそんな名言もありましたが、
私が探求してきた紋様や作品作りのこだわりもまさにそれと似ています。
代を引き継いだ頃から、私の作品作りの根底にあったのは“繊細さ”の追求です。

繊細さへのこだわりが、華硝独自の紋様である
“糸菊つなぎ”や“米つなぎ”誕生のきっかけにもなりました。
それは、創業から現在まで華硝作品を貫く一つのアイデンティティとなっています。

そうした磨き抜かれた確かな技術の上に、
その時々のインスピレーションから得られた大胆な発想を加える。
これこそが私の作品作りの真髄です。

頭にぱっとイメージが浮かび上がってきて一気に作品として仕上げていく。
それはまさに、感性のままに演奏する即興演奏のようなものです。

だから、基本的に同じものはもう二度と作れません。
その時だけにしかできない、最高の作品をお客さまに届けたい。
そんな想いで仕事に向き合っています。

* 近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエが語ったとされる

熊倉隆一作品

誰もが驚く作品づくりを目指して

伝統工芸というと、芸術的な価値の高さというよりは日用品を作るための伝統的な技法とか、
特定の地方に伝わる工芸品というイメージが強いと思います。

伝統的な技法という土台に、より洗練された技法、
また芸術的な表現をも加味した上で築き上げていくことの必要性を今は感じます。
伝統的な価値観に、新しい表現を未来に向けて積み重ねていくイメージです。

今後もそのような志を持って、人々に驚きと感動を与えられるような作品を作っていけたらと思っています。

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