Takayuki's Philosophy 熊倉隆行が語る、自分の理想の作品へと導く方程式

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江戸切子の店 華硝

Takayuki's Philosophy

熊倉隆行が語る、自分の理想の作品へと導く方程式

熊倉隆行

三代目

Takayuki Kumakura

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自分の考え方と個性にしっかりと向き合う

最近の自分の作品を改めて振り返ってみると、父とは異なる方向性の作品が増えてきたように感じます。
父は自分の感性を頼りに、一気に作品を仕上げますが、私の場合、様々なカットを検討しながら作品を作り上げていきます。
素材の特徴を検討したり、使う方の気持ちを考えたり様々な点を検討します。

例えば、私は父とは異なりお酒を嗜むのですが、お酒を飲まれる方の気持ちになって底面のデザインを考えます。
江戸切子の底面は、側面とは異なり使っている人からしか見えません。
お酒を飲みながら感じる、“私だけが知っている”というお客様の満足感を満たしてあげたい......そんな気持ちが強いのです。
このような感覚は、父とは全く異なる感覚だと思います。

父からは多くのことを学びましたが、これからもきっと追い越すことはできないでしょう。
それは技術的な視点というよりも、むしろ感性という視点で考えた場合ということです。
父には父のものづくりに対する哲学があり、私にもそれがある。
代ごとに個性が違ってもいいんじゃないかと思うのです。

熊倉隆行作品

デザインのヒントは日常の様々なところから

デザインのヒントは日常生活の様々なところに転がっています。
テーブルに置かれた製品パッケージや、街を歩いていてふと見かけた看板など、
日常生活で目にする様々なものからインスピレーションを感じます。
美術館や博物館に出かけて異なる分野の造形を考えながら観察することもあります。
そういう意味では自然が一番凄いですね。

最近特に注目しているのは文字のかたち。
その文字の「とめ・はね・はらい」がどのようになっているのか、
その形状としての美しさに注目しています。
日本語だけではなく、アラビア文字のデザインなども興味をもって調べたりしますね。
また、仏教の曼荼羅の構成やその意匠なども研究対象の一つです。
もちろん、それらをそのままデザインに取り入れることはありません。

とにかく、あらゆるものを見て・感じて・知った結果、
ある時それが自分のひらめきとして降ってくる。そんな感じです。

熊倉隆行作品

新しい色への挑戦

ここ最近は、色にもこだわりを持って作品作りをしています。
江戸切子の伝統色だけでなく、ビビットな色やシックな色、
またそれらの色の組み合わせなど、さまざまな作品作りに挑戦しています。

そのような特色の作品の場合、具体的なリクエストをガラス職人に出して、
宙吹きで仕上げてもらっています。

このような一品ものの特色素材は、どのようにその色の良さを生かすか、
考慮すべき点はたくさんあり難しい部分もありますが、

最近はお客さんが自分だけの一品ものが欲しくて買われる方が増えたため、
そのようなニーズにもしっかり向き合っていきたいです。

熊倉隆一作品

私が考える新しい江戸切子の在り方

これまで有田焼や琉球ガラスなど、様々な職人の方々とコラボして、多く刺激やヒントをいただきました。 これからもそのような機会をとらえて、積極的に新しい江戸切子の在り方を模索していけたらと考えています。

いずれ、海外から取り寄せたガラスもカットしてみたいと思います。 海外のガラスをカットしたら、江戸切子ではないのでは?そう感じる方もいるかもしれませんね。 確かにそう言えるかもしれません。

ただ、私としては、江戸切子がどういうものであるべきかという定義にこだわるよりも、 世界に一つしかない作品を作るという父から受け継いだ華硝としてのフィロソフィーを大切にしたいと考えています。

逆に、江戸切子発祥の地“日本橋”にこだわり抜いた作品作りも構想中です。 日本橋のガラス工房で吹いたガラスをそのまま日本橋でカットし、全ての工程を日本橋で行うというものです。

江戸切子の職人として、そして華硝の三代目として、 自分にしか作れない作品を生み出していけたらと考えています。

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