儲かる伝統工芸ビジネスへのチャレンジ~直販システムのつくり方 その6~
2016年5月21日
直販システムの弱点。
当時、1990年代の
直販システムの弱点は
商品を知ってもらう機会が少ない
ということでした。
百貨店に「江戸切子」として並んでいれば
通り一遍の人も
知っていただく機会になりますが
亀戸の住宅街、まさか一軒家の中にお店が・・・
*この住宅街はいらっしゃる方がみなさんびっくりします。
では、知る人ぞ知る状態。
口コミが支えでした。
当時は知ってもらう機会は
マス広告に頼るしかなく
新聞の広告掲載(テレビなんて無理無理な金額でした)
が主でした。
一度なんて掲載して100万円近くかけたのに
来店者ゼロ
もあり、
賭けのようなものでした。
しかも、当時は
「百貨店にないものは一流じゃない」的な考え方がメインで
「百貨店に選ばれないもの」扱い。
百貨店のバイヤーさんからは「おかせてあげてもいいけどね」と言われるような立場で、
直販システムなんてばかもののやること状態でした。
のちに未知のビジネスを立ち上げていく本を何冊も読むと
最初はみんな同じような扱いを受けていて
誰もがうまくいきっこないといわれても
つづけた話を読み
まさに同じ状況であったと思うことが多々あります。
いいものをつくってもだれかの権威でそれを判断されてしまう
誰のためにつくったものなのか?
両親は常に自問自答していたようで、
自分たちの製品をよいと思ってもらうファンがいればいい
という結論になりました。
*一つずつ丁寧につくりお客様に直接販売して渡したいという気持ちで制作してます
当時の百貨店の工芸品は
「○○工芸会の正会員でないと扱えない」などと言われ
ものが良いか悪いかの前に
「どの派閥所属か」が先にありました。
「○○先生のお弟子さんだから・・・」といってしまうと
新規参入が難しいわけです。
ビジネスにて
新規参入が阻まれる分野はことごとく衰退してきますが
工芸品も私は盛り上がっている分野だとは思えず、
権威
という見方が中心の分野は今後のビジネス化は厳しいだろうと考えます。
うちの両親の判断の正しかったことは
お客様が喜ぶことを第一
にしたことでした。
自分たちで江戸切子をちゃんと説明して、知ってもらって、面白いものをつくって紹介をして。
今もそのままのスタイルです。
今では「百貨店にないからいい」というお客様からの評価もあり、
時代とともに価値観・立場など変わってくることを実感します。
しかしながら思いだけでは今の立場になることはできず
権威に泣かされてた庶民が、権威を振り切るまでの勇気と知恵を持ち続けることができたのは
ある道具、ある発明のおかげでした。
それが
PCの登場。インターネットの存在でした。
希少性を支える外部要因は
このインターネットにあります。
*ネットの普及前当は本当に口コミが一番大事でした。